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「ユーたち、柔道部に交渉して、ようやく舞台が確保できたよ」
遅くなってソーリーね、と顧問の土地本が英単語混じりで報告に来た。
「もぉ、トッチー! ぶっつけ本番になるかと思ったよ」
シワシワの土地本の首に抱きつきそうな勢いで、日和が駆け寄った。
文化祭本番まで2週間を切っていた。
「ねぇ、体育館の舞台じゃ、他の部活にネタバレするんじゃないの?」
柔道部が譲ってくれたところで、バレー部やバスケ部が練習している目前で芝居の練習をすることに、飛鳥は一抹の不安を感じた。
けれど、事も無げに日和は答える。
「大丈夫よ、緞帳を下ろした状態でやるから」
バレー部もバスケ部も、アホみたいに声だししてるから、私たちの練習になんか気づかないでしょ、と全く気に止める様子もなかった。
「なぁに飛鳥さん。練習風景も、皆に見てもらいたい? 元芸能人の血が騒いじゃう?」
本番が近づき、日和もハイになっているのか、くだらない絡みをしてくる。
そんなわけないじゃん、と飛鳥はバッサリ切り捨てた。
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