2.唯我独尊

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放課後、他の部活部員たちがやって来る前に飛鳥と日和の2人は体育館へ入った。 舞台の緞帳を下ろし、外から完全に見えない状態のまま動きの練習を始めた。 5役を演じるとはいえ、自分で台本を書いた日和がセリフも位置取りも完璧なことは当然といえたが、相手役として絡む飛鳥の立ち振舞いも、細かいト書きをよく理解し、ほぼ完璧だった。 「さすが、飛鳥さん…」 元芸能人だね、という言葉をかけそうになった日和だが、今度は飲み込んだ。 恐らく、飛鳥は再び茶化されたと捉えるだろう。 けれど、今は真剣に思う。 小さな田舎の高校の体育館にある舞台上でダサいジャージ姿のままでも、彼女は十分に主役のオーラを纏っていた。
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