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「悪いけど。私、もう芝居はしないんだよね」
飛鳥が無下に断ることを最初から承知していたかのように、「うん、知ってる」と、間髪入れず日和は答えた。
「文化祭の演劇部の出し物に、客演してほしいんだよね。人数が少なくって。これ、演目台本」
恐らく手製なのだろう、ワードで打ち込んでプリントアウトしたものをホッチキスで留めただけの冊子を「気が向いたら読んでみて」とだけ言い残し、日和はその場を後にした。
「人の話聞いてんのかな……」
芝居はしない、と言い切った自分に演劇台本を押し付けて去って行った隣のクラスの変な子。
飛鳥にとって、日和の第一印象は、この程度だった。
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