模擬戦

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面倒を見るのは嫌に決まってる。だから出来るだけ早く空気になるのだ。呼吸をする様に溶け込むぐらいは、出来る様にならなければ、自分だって死んでしまう。できれば一生この日が来て欲しくなかった。子供のまま腐っていたかったんだ。 「ファリスおはよう!」 憂鬱な顔をしているとシノギリス・ハヤビキが明るく声をかけてきた。 「!?」 途端に鼻の下が伸びきった。 「シノギリスさん。おはようございます!僕今日は大暴れしますからね。年中組時代からの封印を今日解き放ちますからね。」 「封印?」 はい。と言うと 「僕の中には第二の僕がいるんです。その僕は、冷酷で、残虐で、非道で。血を見ると吸いつきたくなる程の吸血マニアなんです。子供時代の僕は誰より血に飢えていたので、逆に抑えていたんです。それも今日で終わりです。軽くやっつけて、真実の僕の姿を皆さんの脳裏に焼きつける事を約束しましょう。」 シノギリスは驚き、そうだったのか…と言うと 「そういえばカムリとは昔からの知り合いのようだな。幼馴染のような関係かな?」 ファリスはチッチッチと指を鳴らすと言った。 「強いて言うならコンビですかね?敵に囲まれたら背中を預け合う様な…そんな関係ですかね?相棒とも言うのでしょうか?昔狼共に囲まれた事がありましてね。その中を二人で中央突破した事があったんです。背は低いけど、根性には自信がありますよ。」 と言うとシノギリスは何故か機嫌が悪くなってしまった。 「コンビ…?相棒…?なんて羨まし…恨めしい。あんな根暗男と一緒にいると録な事が無いぞ。あの男に蹴落とされた人間が何人いるか。気がつけば、出し抜かれているんだ。私も相当卑怯な手を使われた。他人の弱みを握るんだ。怪我をしているだの風邪をひいただの…。」 「誰が弱みを握るんだ…。」 カムリ・栞が現れた。 「シノギリス。頼むからファリスに下らない冗談を言うのはやめてくれるか?少し理解力が乏しい子なんだ。難しい事を言って混乱させる様な事はしないで欲しい。」 「またそんな手段を使う積もりか!見下げ果てた奴だな!そんな15歳いるはずないだろう!」 ですよねーと思い、ファリスは二人の騒ぎを眺めていた。 「…そない馬鹿な…。」 一部始終を見ていたケレン・カスマがファリスに目を剥いていた。
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