模擬戦

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僕の初めての訓練が始まろうとしている。場所はキョウト学会教室を出た先のグラウンド凹凸のあるダート仕様なソレは、様々な状況を想定した時、月夜の戦闘や、雨のぬかるみの戦闘に次いでのハードな戦闘条件として名を馳せる。 「訓練位は最悪の状況を想定せよ。」 学会のスパルタ教育の元、掲げられた理念がファリスに重くのしかかる。 いや、これ、足場を取られたら大変だよね? 年中組時代からMBの操縦に関してはずっと周囲に遅れをとってきた。このダートでの戦闘はファリスへの登竜門だった。力の無い自分が何処まで騙し騙しやっていけるか?不安で胸がキリキリ痛くなる。 早く何でもない様にこんな時間終わってしまえ。神様、どうかこんな憐れな僕にお慈悲を。無駄な思考が暴発してしまいそうになる。カムリもシノギリスもケレンも、こんな訓練をしてきたのであろうか?戦場に出て殺し合いを演じてきたのであろうか? 僕は誰一人殺したくない。だから戦場には立ちたくない。そんな甘い考えでやっていける程戦争は甘くない。そんな思考の戦士が戦場で生き残る常など無いし、あってはならない常識だと思う。その考えそのものが幼稚な事は分かっているし、それをそうと認めてしまえる自分がいる。 そんな日常が戦争に参加するのはただの成り行きであり、言い訳 。カムリの付き添い他ならず、いつまでやってんだよ、と自問自答するもいつまでも辞められず宙ぶらりんのままここまで生きてきた。戦場は僕のコンプレックスであり憎悪の対象だ。そんな日常をおやっさんは変えたいと言っている。 おやっさんについていけば いつか忌避していた戦争も自分なりの答えが出るんじゃ無いだろうか?他人任せな生き方に蹴りがつけられるんじゃ無いだろうか?僕は何がしたいんだろう?自分でも自分が分からない。 カゼナギ・フォルテが訓練内容を伝えた。 どうやら半々に別れて10対10の模擬戦をするらしい。コートの隅と隅に大将を置いて、制限時間30分以内にどちらかの大将を討ち取った方が勝ち。シンプルな野戦訓練だ。 ただここに居るのはキョウト学会の精鋭部隊である年長組が相手だ。鬼が出るか蛇が出るか、ファリス・京にはどんな未来が待ち構えるのか? 「おーい!嬢ちゃん!奇遇やなー!」 ケレン・カスマがひょうきんな声で近づいてきた。 「ケレンさん!何でカムリやシノギリスもじゃないんですか~。」
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