模擬戦

17/20
前へ
/54ページ
次へ
敵のロンリネスウルフは自陣から敵陣まで逃げてしまった。 (そうか…時間切れを狙っているのか。だが残り時間は後3分MB一機、潰せない時間じゃない。) 「この訓練ホンマに命懸けやで~。」 失神していたムゴルを担ぎだし、ケレン・カスマはガイストに悪態をついた。 「ガッハッハ。常に実戦を意識しろという、学会の基本理念だからな。何度も言う様に、俺だけが決めたんじゃない。皆んなで決めた事なんだ。それでもお前達はこれぐらいで死ぬ玉じゃないだろう?」 「あかんわ。もし死んでしもうたらどうするんや…しかも壊れた機体は自腹…。ワイらに厳し過ぎるで。ホンマにミジンコ並の脳やで…。」 「ミジンコってなんだ?」 「はっは!ミジンコも知らんのか!あきれた奴やで~、うんこと小便を混ぜるんやでそして一度ミキサーにかけて三分。色が変わるのを確認して、終わったら水気を裏ごししてから御萩状に丸めて完成や。飲尿療法なんぬ。喰便療法やで~。」 「何に効くんだ?」 「お主のアタマの悪さにじゃボケ。」 「スープなのか?」 「あっはっは。御萩にするゆーたやん、セクシャルハラスメントやであんさんの顎髭。」 どしーん、どしーんとMB同士の音の暴力が鳴り狂う。 「鬼ごっこか…。ワイの目論見も外れたか…。ファリスに期待したんが馬鹿やったで…。ありゃハッタリだったんやな…。」 ついにファリスのロンリネスウルフはカムリのシルバーウルフに校舎の隅に追い詰められてしまう。 「嗚呼!罰ゲーム決定や~!どうしようおやっさん!頼む!ムゴルの純情がかかってんねん!負けるとムゴルに殺さ…。」 「あのロンリネスウルフに乗っているのはファリスなのか?」 「ああそうや。カムリと寄生虫コンビ組んどるゆーとった。どーやら嘘の様だったらしい。」 「強いぞ?」 ガイストは悪ガキの様に笑った。 遂に逃げ場の無くなったロンリネスウルフ。カムリのシルバーウルフは死神の鎌を振り下ろそうと、右の巨大爪を振り上げた。 いくぞ!右手はフェイントで左手で第一撃を狙いにきたカムリ。急所である脇腹の動力機構にピンポイントで抜き手を当てようとした。が、カムリの目論見は潰されてしまった。盾の様な仕様になっている右手の甲で防がれてしまった。 (読まれた?) 防がれた左手を戻し巨大な右爪で頭部を狙うも、かわされる。が、またもフェイクで左手で急所を攻める
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加