模擬戦

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が、右手の甲でガードされてしまう。一旦距離をとって後退したと見せかけ前蹴りで腹部を狙ったが、視界が遮られてしまった。 (ダートの泥を巻き上げたか…。) ロンリネスウルフが右腕で砂埃を立ち上げると腹部に衝撃。シルバーウルフは倒されそうになるが両脚を踏ん張って堪える。 (ディフェンスの上手い奴だな…!) カムリはこんな奴いたのか?と思わず感心してしまう位だった。何なら次はどうする? シルバーウルフは右ローキックをかました。すると怯んだロンリネスウルフの右手を狙った。 (手の片方でも失えば、自慢のディフェンスもできまい。) 掌を立て左チョッピングをロンリネスウルフの右脇を狙い振り下ろすが…。 バキっ!と鈍い音が聞こえるとカムリは万力で身体を固定されてしまった様に、身動きが取れなくなってしまう。グッグッと体躯を動かしてもビクともしなかった。 (白刃どり…?) カムリが目の当たりにしたのは両爪でシルバーウルフの左手甲を制しているようだった。身体ごと固定されてしまったシルバーウルフは身体を我武者羅に引き剥がそうとするが (!?) 上体を崩され左側に倒されてしまった。自由の効かない左手を軸にロンリネスウルフは両手で薙ぎ払うとシルバーウルフの左腕は無惨にももげてしまった。 捻り切られた左腕をシルバーウルフは見上げると。 (俺から左腕を取るなんて…。シノギリスにも取られた事も無いのに…。これ程の奴がいたとは…。) 誰なんだ?おやっさんか?とも思い再度ガイストを見たが今度はみんなと西瓜を食べながら観戦していた。やはり一同、驚きを隠せない様だった。何か忘れてる様な気がする。 うーん、あっ、そーいえばファリスはどこにいるんだろう?どこにいる?いない…?辺りを隈なく探してもあの子は何処にも姿を現さない。 正面から衝撃が走る。敵ロンリネスウルフがローキックで右腕まで狙いにきた。敵の追撃を振り払う為後退し起き上がる。 (ファリスはどこだ…!まさか!) 正面の未知の敵の正体はお前だったのか…! 「ファリスー!」 カムリは叫んだ。あのいつも後ろを歩いていたあの子がここまでの戦士になるなんて。何かの夢か?嬉しい、本当に嬉しかった。あの泣き虫が自分の存在を脅かすとは。 カムリは残る右腕に月食力を込めるありったけの力を。手加減はもうしないぞ。シルバーウルフの左手甲を襲う。
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