ファリスとカムリ

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自分で覚えている最古の記憶はカムリと一緒にいる時だった。カムリと僕は一歳違い。ブリザードの吹き荒れる嵐の夜、二人は両親の帰りを待ちわびていた。 カムリが好きだった狼汁を両家でパーティーしようと、狼猟に行こうと、アイディアをだした事が発端だった。 また両家で二人の成長も兼ねて実物の狼猟を見せて、息子に自慢しようと意気投合した二人の父の武勇伝を語る隠れた思惑もあった。サブの薪が尽きかけてしまった事から新たな薪を探しに四人で探しに行ってしまった。 「オレがいるから安心して。」 炎を囲んで一人泣き出しそうな僕をカムリはずっと励ましてくれてたっけ。今思えばあの頃のカムリの方が、今の僕よりよっぽど頼り甲斐があるんじゃないかな?そもそも父さんも母さんも、ガキ二人この嵐の中残していくなよ。 するとタイミングが悪く辺りからグルル、ガルルと怒る音が聞こえた。遠吠えの音、雪を踏み均す音。汚い吐息の音。音。音。音。 二人を八方向に囲み、威圧しながら狼たちは知恵を絞り、獲物をジリジリと追い詰めた。 その時僕は泣き叫ぶ事すら出来なかったんじゃないかな?顔面の筋肉が凍りつき、蒼白になり、
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