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カムリ・栞の憂鬱。それはファリスにより起因するものだった。彼はファリスに弱かった。何故か?優しい友達だからか?違う。幼い頃からずっと一緒にいたから?これも違う。
「弟」だからだ。このヒノモトでただ一人、血が繋がっているからだ。勿論二人は血縁関係ではない。
ただカムリは「弟」に誰よりも心血と愛情を注いできた。自分の命の前に大切なもの。それがファリスだ。
見えない絆でいつも結ばれているもの。それがファリスだ。
ケンカさえしないぐらいの仲良し。それがファリスだった。
故にファリスは今のカムリの唯一の弱点に他ならず、ファリスにとってのカムリも同じ様なものだと思っていた。
それが今日初めてケンカしてしまった。己の主張が間違えているとは思ってない。ファリスは優しすぎるのだ、そして幼すぎるのだ。
ファリスはどんな人間にも甘い。故にもし仮に人から嫌われたとしたら、傷つけた相手に配慮して何も出来なくなってしまうのがファリスだ。
けれどそれでは駄目なんだ。お前の考えは良い首領のする考えだ。だが一介の戦士がそれではいつか必ず相手に付け入られて殺されてしまう。
どうしよう…。なんとかしなければ…。上手い手はないか?
そうだケレンなら。ケレンなら二人の間を取り持ってくれるのではないか?実はお人好しで、誰も見捨てられない性格のケレンならきっと頼りになる。
ケレンを発見した。がファリスと一緒にいたので人混みに紛れて一部始終を見守った。
「ほ~あの介党鱈、殺しを正当化しよんのかい。こら怖いでぇ。そういう心の狭い所が、人から裏切られる事に繋がる事がまだわかってないんや。要は人望がないんや。人の温もりに飢えたケダモノやでぇ。」
「もうカムリが、分からない…。」
「あのハードゲイ。きっとワイ辺りに仲介役頼んでくるでぇ。ホンマにめんどぉやな~。アホくさ。牛乳でも飲んで寝たらいいねん。あんな奴。」
結構傷ついた。ファリスが「鼻から牛乳を飲んでしまえばいいんだ。」と言った時、カムリのダメージメーターが振り切れこの場を後にした。
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