カムリの初恋

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今日は実戦見学。待ち遠しい位この日が来るのが本当に嫌だった。と言っても見学なので、自分が人殺しの片棒を担ぐ事はない。 とは言え、人が死ぬ様は見ていて悲愴な気持ちになるので、殺す側も殺される側も可哀想過ぎると思ってしまった。 モザイク少年はこんな自分をどう思うだろうか?きっと、「小心者め。」と侮られてしまうだろう。何故自分を殺そうとした人間を殺してはいけないんだ。そう言うだろう。 だがファリスは例え殺そうとした人間でも殺してしまっては駄目なんだと強く心に言い聞かせた。自分は人を殺す為に生かされたんじゃ無い。救う為に何かがしたい。 殺そうとする人間の心を癒したい。深く傷ついた人間の心を癒したい。権力にあぐらをかいた人間の強欲さを癒したい。どんな人間も癒しが必要なのだ。 生きる上で歪んだ人間も癒される事で変われたら、どんないい世界になるだろうか?戦う必要が無いのだ。どんな人間も強く無い、きっと、知らない内にスレてしまうのだ。 只毎日、殺し合うんじゃ無くて、抱きしめ合う。そんな毎日が理想の良い世界なんじゃ無いだろうか?机上の空論だけどね。ファリスは思う。 僕は無力だ。殺される人間を指を咥えて見ているだけなんて。 できればカムリにだけはわかって欲しかった。カムリはいつからああなってしまったんだろうか? 彼の心の闇を覗いてみたい。 彼は苦しんでいるんだ。きっと、僕の知らない所で。彼の力になりたい。僕達は兄弟なんだから。一人で抱え込まないで。とファリスは心から神に祈りを捧げた。
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