4人が本棚に入れています
本棚に追加
隙を見て夜な夜なムーン・ビーストを持ち出して、殺戮を行なっていたのだ。
今宵も兵隊狩りに出てきた。狩って、狩って、狩り尽くしてやろうかと牙を剥くと、人の群れを見つけた。面白く無いので踏み潰してやろうか、と思うと。
群れの中に女…?少女がいるのを見つけた。七歳のカムリに対し何歳だろう?もっと小さいんじゃないかと思う程の女の子だった。
興味が湧いた。この暗闇の中で少女達は一体何をしているんだろう。
幼いカムリには分からなかったが、男達は汚い声で笑い、何やら興奮しながら少女に手を出した。
「いやー!」
泣き叫ぶ少女、さながら男兵たちは、力任せに少女を縛りあげると、服を掴んだ…。
(何だ…?弱いものイジメか…?)
ハッチを開けるとカムリ・栞はサブマシンガンを手に取り、ぱららららっと、一掃した。
少女を残して男共は無残にも倒れてしまう。
流れ弾が当たらなかったのは奇跡か?
ともあれ少女は助けられた。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
人懐っこい瞳がカムリを射止める。
「私たぶん今この男の人達にてごめにされちゃう所だったんだよ?」
少女の愛らしい容貌にカムリは頬を赤らめた。
「訳わかんねー事言ってんじゃねー。お前はこの屑共にイジメられてたんだろう?だから助けてやったんだよ…。」
「じゃあお兄ちゃんは正義のヒーローだ!弱い者イジメが嫌いなんだよね?悪い人間をやっつけるんだよね!」
無垢な瞳に気押されてしまった。
「オレは嘘つきが嫌いなだけだよ。この世で一番くだらねーのは嘘をつかれた奴だ。よく覚えとけよチビ。何故、ガキがこんな所にいる?」
「お城のじょうかまちで暮らしてたんだけどねー、お母さんに待っててって言われて待ってたら、いつまで経っても誰も来なくてねー、変なおじさんに連れて来られちゃったの。」
このチビも…。親に見捨てられたのか…。カムリは己を見ている気になった。が…。
「お兄ちゃんはオオサカ王国の出身?私のお父さんはオオサカ王国で兵士をしていたの。でもこの間の夜、悪い人に殺されちゃったんだ。でも、お兄ちゃんはそんな悪い奴を懲らしめてくれるんでしょう?」
「!?。」
まさか夜間戦闘で俺が殺してしまったんじゃないよな…?カムリは罪悪感にかられ始めた。
最初のコメントを投稿しよう!