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ただ哀れに獲物に成り下がるシーンを想像しては怯えきっていた。
「怖いよカムリ。怖いよカムリぃ。」
泣かなかった。しかし、込み上げてくる恐怖を抑える事ができなかった。ジリジリ狼共は詰め寄る。
「大丈夫。オレがいるから安心して?ファリス。」
次の瞬間、立て掛けてある猟銃をカムリが掴み、狼共に乱射した。パン、パンと狼の顔面に向けて撃ち。ある狼は負傷し、ある狼は逃げ惑い、ある狼は絶命した。脆くも八匹いた狼が七匹消えた。しかし、あと一匹。二人の前に立ちはだかった。カムリの銃の残弾も尽きてしまう。
「死を恐れないのはお前も同じか。」
鋭い眼光で狼を睨んだ。その目つきが狼を刺激した。素早い動作でカムリとの間合いを詰め、牙を剥いた。その動きの先をいき、カムリは火のついた薪を拾い上げ、狼の口に突っ込み、ヒーンと悲鳴をあげる狼の腹を、カムリは銃で殴る。だが幼いカムリの身体に馬乗りになった。馬力の弱いカムリはまんまと転がされてしまい。狼は自慢の牙で肩口に噛み付いた。ブシュっと鮮やかな返り血が返り、狼を一層ワイルドにさせた。
ファリスは失禁し両親の名を叫んだ。助けてー、カムリが死んじゃう。お父さん、おかーさーん。無情にも父も母も現れなかった
カムリは狼と揉みくちゃになり、髪も自身の血でぐしゃぐしゃになっていた。狼は息の根を止めようと首筋に噛みつこうとした時、
「殺すぞ。オマエ。」
カムリは狼の目に手を雑に突っ込み片目を潰した。悲鳴をあげる狼。続けザマにもう片方の目も潰した。
一気に狼は弱り、力なく倒れ、仰向けになってしまった。
カムリは小さくやった、と嘆息を漏らすと、ファリスに駆け寄った。
「カムリ。」
ファリスも安堵し緊張の糸がほぐれリラックスしかけた時、
「うー、グルグル。」
「ワオーン。」
再び、狼に包囲されてしまった。
「俺の弟に手を出すヤツは、殺す。」
カムリは立ち上がる。しかし、二人の万策は既に尽きていた。今度こそ狼共の餌食になる時、バリバリと木々を薙ぎ倒す音と共に無機質な機械の塊が狼共の群れに突っ込んだ。ぎゃん、と騒ぐ狼共。その無機質な塊は皮肉にも狼?を模して造られ、後に獣人だったんだ?と納得した事を覚えている。それらの機械の総称をムーン・ビーストといい、MBと略される、現代の戦争の主力兵器が狼共を屠りまくる
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