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「銀狼の面は里芋か?」
機体の腕を掴むと敵コボルデはシルバーウルフの右腕を力尽くで外した。バコンと大きな音が響き渡る。
「良いね~、益々楽しみになってきた。銀狼の面は田吾作か?」
シルバーウルフを仰向けに寝かせるとコックピットがある腹部の裏、ハッチ部分を見て一同爆笑した。
一人ずつ、カムリの顔を見る為、機体から降りて行く…。
「我、無上の喜び、」
コックピットの中に侵入し、髪の白い少年が気絶している様を見ると
「げひひひひひ!」
気色悪いわらいごえをあげた。
「ご尊顔、確認致す。」
顔を見ると…。
「こやつ!天然記念物か!」
「下郎!即座に斬首せよ!」
「生意気な…我らを見下すか…!」
目と口を剥き悔しがる馬鹿共。
「口惜しや、まるで我らは馬鹿では無いか!」
「こんな若造に辱められたとあっては末代までの晒し者だわ!」
「売女が!毛ジラミを混入してやる!」
プライドをズタズタに潰された馬鹿共は蛮行に及ぶ。
「恥だ!恥をかかせなければ!」
「接吻だ!我のたわし顔で接吻だ!」
「いや待たれい!我の堆肥顔こそ正統な接吻権がある!」
ぺっぺと汚い唾を飛ばしながら叫ぶから…。
「カムリー!カムリー!」
ファリスが援護に来てしまった。
「かかる不始末!皆逃げよ!」
皆ハッチを飛び出し、一目散に逃げだしてしまった。
ファリスがロンリネスウルフから異様な光景を見た。コボルデ六機に壊れたシルバーウルフ。
そのコボルデと戦闘になるか?と思っていたが…どうやら中身はもぬけの殻らしい。損壊の激しいシルバーウルフを調べた所、カムリは気絶しているが無事。
白い髪のカムリじゃない黒い毛髪?と臭い匂いが充満して散らかっていた。それらの物的証拠は何を意味するのか?…??。謎が謎を呼んだ。
何回考えても分からないが取り敢えずカムリが無事ならいいや、と思いカムリを機体で掴んで回収しようとした所…、どこからともなく声が聞こえた。
「…妬かれて灰になりたいのか?」
低く、テノール歌手の様な良い声だった。増援か?と思い周囲を警戒した所、視界に何も入らなかったので杞憂かと思ったが、
「妬き殺すぞ、貴様。」
響渡る様な声かまた聞こえた。
前方に敵影あり、と脳が告げた。視界に黒い粒が現れる。
その黒いつぶは一歩一歩闊歩してくる。
プレッシャーがのしかかった。
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