カムリの初恋

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力の無い僕ではどのようにして敵を倒せば良いか?敵の攻撃を捌きながら出した答えは…。 相手のガラ空きになった脚を狙った。右脚を相手の左脚に絡めると大勢が崩れた、攻撃をしていた両腕の方向に慣性で倒れ始めると、腰に手を巻きつかせ、当て身投げを見舞った。 頭から敵は倒されると、相手の頭部は一部損壊した。良し、これで敵の視野も狭まる。 幾ら命を狙われたとはいえ、敵を殺す訳にはいかなかった。ファリスは敵を戦闘不能にするにはどの様にしよう?と模索した。 取り敢えず脚だ。脚がなければ敵は歩く事は出来なくなる。その上攻撃も必然的に限定される。ファリスは右爪を突き立て、倒された敵に下突きを膝関節部分に叩き込む。 一撃、二撃、三撃、四撃。敵程の速さは無いが黙々と打ち込む。すると敵の片脚がもげた。しめた!塵も積もれば山となる、敵の片脚が悲鳴をあげた。 良し、これで仕上げだ。畳み掛ける様にロンリネスウルフが行ったのは、コボルデを利用する事だった。近くにいたコボルデを投げ飛ばした。 敵機もコボルデの下敷きになる。 そのまま二体、三体、四体、五体、六体。山の様にコボルデの下敷きになると敵もこれで動けまい。 ロンリネスウルフは安堵した。本来なら己も力で勝てる相手では無かった。カムリさえ楽して勝てる相手では無かっただろう。今回の勝利はラッキーだ。 10回戦ったら10回負ける相手に、ラッキーで勝ってしまっただけ。 カムリなら敵にトドメを刺すかな?ふと考えてしまった。確かに今の強敵は生かされたら今後、更に多くの人間を殺すだろう。 「王に組みして 人を殺す奴等なんていっそ殺してやったほうが良いと思わないか?」 カムリの言葉が耳に残る。 でも僕は人を殺してしまったら自分が嫌いになってしまう。自分が二度と信じられなくなってしまう。これから先、生きられなくなってしまう。 だから僕はエゴで人を殺さない 。例えどんな残虐な人間だって、何か一つ良い所が有るはずだ。僕はそこを尊重してあげたい。 ーーーだからサヨウナラ。 カムリを探しここを後にしよう。敵も機体の間からならコックピットから這い出る事が出来る筈だ。この場を後にしようとしたその時、 ガシャリと音がした。不信に思い振り向いた刹那、漆黒の機体がまるで背後霊の様に接近すると、月食力を込めたのか、敵の左腕でロンリネスウルフの右腕を弾き飛ばされてしまった
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