ファリスとカムリ

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狼の何重倍にもなる機械、五機を相手にする事は狼共では多勢に無勢だった。瞬く間に狼共は落ち延びていき、二人は九死に一生を得た。機械の群れから男が出てきて駆け寄ってきて叫んだ。 「おやっさん、この子達無事だ。この吹雪の中二人だけだったのか?もう大丈夫だからな?強い子達だ。」 お父さんとお母さんが一緒だったの。ファリスが答えた。すると、おやっさんと呼ばれたこの寒い中、上半身裸で筋肉が隆々とした強面の男が駆け寄ってきた。二人は少し、愚図ったがその優しそうな表情に、すぐ気を許した。 「ありゃ?こっちのガキは血塗れじゃねーか!狼相手に戦ったのか?馬鹿で命知らずなガキだな。出血多量で死にてーのか?生命知らずな闘魂の持ち主だぜ。早く連れてってやるからな。」 ワッハッハと笑ってもう安心だ。と泣きわめくファリスをおやっさんという男は抱き抱えていた。 「弟を頼みます。」 「名は?」 「カムリ・栞」 カムリは、屈強な男達に担架で運ばれていった。 おやっさんの腕の中、「兄貴なのか?」と聞かれた。「違うよ。」と答えた。おやっさんがワッハッハと笑ってどーしょーもねーガキだなぁ、と言った。 「ガキはオマエみたいのが一番可愛いぜ。」と言い放った。ファリスは疲労困憊し、気づいたら疲れ果ててブラックアウトしてしまっていた。その様子をおやっさんは優しく見守ってくれていたらしい。 これが僕とカムリの最も古くてハードな記憶。因みにその後両家の両親とも狼に食い殺され、遺体になっていた事を後から聞かされた。そして身寄りの無い僕達は身寄りの無い子供達を集めて作られている戦争集団・キョウト学会に参加する事をカムリと決めた。
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