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「戦争に行って、死んだ仲間達は二度と蘇らないんだよ。おやっさんはどうしてそんな酷い事ができるの?」
「ハッハ。今の年齢になってそんな事を言われるとは思わなかったぞファリス。言うとな。俺たちは多くの人間が死なない未来を作るために戦うんだ。言うのは簡単だ。でも誰かがやらなければ誰もやらない事なんだ。わかるかファリス。力を持つものが人を支配しては駄目なんだ。力を持つものは人を活かす為に何かを為さなければ駄目なんだファリス。俺は戦うぞファリス。お前は俺についてきてくれるだけでいい。お前の力を貸してくれないか?」
「おやっさんはどうしてそんな酷い事ができるの…?」
「…むぅ。どうしてそんな酷い事をと言われてもな~。ん~。」
「一度死んだ人は生き返らないんだよ?その意味わかってる?」
「わかっているさ。そんな人間を作らない為に俺は戦うんだ。」
「本当にわかってる?ならおやっさんが一人で戦いなよ。」
「ファリス。子供の話し合いじゃないんだ。お前の理想は確かに正しい。人は戦うべき生き物じゃない。話し合うべき生き物なんだ。しかしながら俺たちは戦う以外で正しい道を示せない人間の集まりなんだ。でもだ。そんな俺たちが人々が話し合うキッカケを作れたらどうする?それは素敵な事だと思わないか?戦う道しか知らなかった俺たちが人々を導くんだ。」
「僕が何を言いたいかわかってる…。」
「戦争が好きな人間なんて一人もいないんだぞファリス。それをわかって欲しい。俺も戦争が憎いんだ。」
「ならおやっさんはどうして僕達を利用するの?」
「怒るぞ。ファリス。誰も俺の為に死線をくぐって貰ってるんじゃない。大義のためだ。」
ファリスは泣きだした。
「嘘だ。そんなのはデタラメだ!どうしてそんなに酷い事ができるの?全部自分の為なんでしょ?皆んなを嘘で騙してまで。酷すぎるよ。何が大義だよそんなもの全部戦争する為に作ったおやっさんの口実じゃないか!」
「…ファリス。」
残念だ。と言うと
「そんなに戦争がしたくないならしなくていい。ただ忘れるな。ここにいる皆、そうして生きているんだ。皆んな心の何処かでクソだと思っていても、皆んなが辛い思いをしてるんだとわかるから俺は戦うことができるんだ。」
「…生き残りなんでしょう…?」
「?」
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