▼一話 食べかけのトマトスープオムライス

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 カウンターから声が飛んできた。親切にも那岐さんがオオちゃんの本名について解説してくれる。  オオちゃんが桃の神様なのはわかった。でも、どうしよう……どこまでが冗談!? あの凶悪面で、私のことをからかってるのかな?  だって、那岐さんの言ってることが本当なら、私は神様と話してることになるし……。  困惑しながら必死に状況を理解しようと頭をフル回転させていると、那岐さんは次なる『ありえない爆弾』を投下してくる。 「『お前が私を助けたように、地上のあらゆる生ある人々が苦しみに落ち、悲しみ、悩むときに助けてやってくれ』。そうイザナギに言われて神になったんだ、そいつは」  ――待って、再びカオス……!  淡々と話している那岐さんはいたって真剣な様子で、オオちゃんのことを本気で神様だと言っているのがわかる。  でも、そんなまさか……。  信じきれない私に、オオちゃんは「その通りだぞ」と自信満々にふんぞり返った。  でも、この喫茶店にいること自体がありえないことだし……。さすが、死者に会える喫茶店。店員も人外ときた。  驚きを通り過ぎると、人は受容するしかなくなるらしい。 「ささっ、メニュー表をどうぞ」  水月くんが私に、黒革のメニュー表を手渡してくる。それを広げると、中にはなにも書かれていなかった。     
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