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「あの、これ白紙ですけど」
「ああ、言い忘れてたね。当店の注文の仕方から、注意事項の説明をさせていただきます」
恭しくお辞儀をして、人差し指を立てる水月くんは明るいムードメーカーのようだ。その表情を見ていると、この状況でも不思議と不安が和らぐ。
私はニコニコと常に頬の筋肉を緩ませている彼に、「お願いします」と首を縦に振ってみせた。
「いい? 初めにメニュー表を持って、思い出の料理を頭に思い浮かべる。死者の国の人間を呼び出せるのはひとりだけだから、後悔しないようによーく考えてね」
どうしよう、最初からついていけない。でも、いちいち突っ込んでいるときりがないので、もう全て受容しよう。Welcome to the chaos!
混乱していつもの自分とは思えないくらいハイテンションになっていると、付け加えるようにオオちゃんが補足する。
「いちばん大事なのは、死者の料理を食べないことだぞ。それから、出された料理は一時間以内に食べ終わること」
その言い方が妙に深刻だったので、緊張した私はゴクリと喉を鳴らす。
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