誰にも渡さない

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 なめらかな肌の感触を確かめるように肩に沿って手を滑らせてブラウスを脱がせる。そのまま背中に手をまわしてホックに指を掛けた。  上半身を包むものがなくなった美紅は両手で顔を覆った。  そんな仕草も初々しくて可愛い。  でもそれじゃあ折角の可愛い顔が見えないから、手首をそっと掴んで頭の両脇でシーツに縫い留めた。  恥ずかしそうな表情がたまらない。  薄く開いた唇を啄むようにキスを繰り返すと。 「淳見くん・・・」  離れるその都度、吐息とともにささやかれる俺の名前。  何度呼ばれても心地いい。  何度呼ばれても聞き足りない。 「もっと、呼んで」 「淳見くん・・・」 「もっと」 「淳見くん・・・」 「まだ足りない」 「・・・淳見くん・・・」  呼ばれるたびに俺の中が美紅でいっぱいになっていく。
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