誰にも渡さない

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 身体中を、それこそ頭の先から足の先まで触れ尽くして、俺は最初の体勢へと戻った。  見下ろした瞳は最初よりもさらに潤みを帯びて、白かった肌はほんのりとピンク色に染まっている。その肌のあちこちには俺が残した赤い花びらが散る。 「ごめん。いっぱい印つけちまった」 「やだ・・・」  とろんとした瞳で、それでもまだ恥じらいを浮かべる美紅がどうしようもないくらい可愛いくて、もう限界だ。 「美紅・・・」  掠れてしまう声がカッコ悪い。  でも、俺だって初めてだ。  自分で言うのも何だけど俺は結構モテる方だと思う。  だけど、外見やスポーツの成績だけで寄ってくるような女には興味はないし、大勢で賑やかにしてる方が楽でいい。  告られたこともなくはないが、ハイジャンしてる方が楽しいから付き合うとか考えられなかった。  そんな俺が、ハイジャンよりも大切だと思えたのが美紅だ。  その美紅を自分のものにできる。  緊張するに決まってる。
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