誰にも渡さない

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誰にも渡さない

 ドクドクドクドク。  心臓が早鐘のように鳴る。  今、ベッドについた俺の両手の間には美紅(みく)がいる。  頬を赤く染め、潤んだ瞳で俺を見上げている、大切な大切な俺の彼女。  美紅と初めて出会ったのは去年の夏休み。  俺はハイジャンの選手で、部活の時間以外に自宅近くのグランドでも練習をしていた。  そこで出会ったのが美紅だ。  引っ越してきたばかりだという美紅。愛犬の散歩をする美紅と朝練をする俺は、毎朝会う夏休みの間にかなり親しくなった。  2学期になって美紅は俺と同じ学校に転入してきた。  俺は学校ではハイジャンを通してそこそこ有名だったし、めんどくさいとりまきもいたりしたから、敢えて初対面を装っていたけど。  本当はかなり早いうちから俺は美紅に特別な感情を抱いていた。
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