私的恋愛論

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私的恋愛論

みっちゃんは恋をした。らしい。 放課後の教室、窓際から階下のグラウンドを覗き込みつつ、物憂げにため息をつく彼女。 そんなみっちゃんの隣に座る私ときたら、先日開催された爬虫類展示販売会で出会った、アルビノのニシキヘビを眺めるのとまるで同じ好奇の目で、頬を赤く染めるみっちゃんをまじまじと見つめる。 みっちゃんが恋する殿方は、ちょうどグラウンドで練習試合をしているサッカー部のうちの1人、田中君。 当然ながら誰だかわからないのだけど、みっちゃんの目線を追えば、ようやく"アレ"かと、人物を特定できた。外面を重要視しないところは評価しよう。 観戦しつつ"アレ"を目線で追えば、ゴール前に陣取りながら、ボールを追って行ったり来たりを繰り返し、最後の美味しいところを虎視眈々と狙う目立ちたがり屋のアレ。「ああいう奴いるよねー」と毒を吐くと、そういうポジションだと怒られた。
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