共和国歴■年3月5日

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共和国歴■年3月5日

嫁と、喧嘩した。 いつ振りだろうか。理由は、授業で使う…採取缶?を割ったから。 「採取管(・)です。」 「勝手に割れたのだが・・・」 嫁は小さくて可愛い生き物だ。オレ達の様に頭が1つ腕と足が2本ずつあって二足歩行するが、怪我の治りが遅く、何処を怪我しても直ぐ死にそうになる。身長はオレの胸から腹ぐらいしかないし、肩幅も一回り…いや二回り?小さい。 被り物でよく隠れているが、漆黒の髪はいよいよ艶を取り戻し、その昔見た“黒い太陽”の様だ。 …もっとこの子の事を話したいが、この前喋ってみたら1時間無休憩ぶっ通しで話してしまい、主に怒られたから止めておく。 結論は可愛い、それだけだ。 「もおぉ何してるんですか! 高いんですよあれ!」 そんな、もっと近くで話したり桜色の頬(ほっぺ)に触れてみたい君の性格は真面目で、自分の意見を積極的に主張するタイプではなかった。それでは暮らし難いだろうと、お喋りな従者を嫁の友達として付けた。どうやらオレ史上最高に正しい判断だった様で、あれから嫁は自分の意見を言う様になった。 「明日からも授業で使われるのに、どうするんですかー?!」 従者がその性格通り騒いで騒いで騒ぎ終わると、嫁が袖を引っ張ってきた。 来た。 その控えめさが何とも言えないが、そっと片膝付いて眼を合わせる。 「…。」 「…。」 長たる者が片膝付くなんてどうかと言う輩も居るが、簡潔に言って状況その他諸々を分かっていない。 愛しい君とオレの間には、身長だけ見ても40cmの差がある。そこに体格差や性別、身分…といった差・距離・backgroundを上げればキリが無い。 その差を埋め、もっと近くで見ていたいから、今日も君がために膝を折る。 「ロンドさま。」 其の眼は黒や茶色に見えて、ほんの少し青い。何色と言えば良いのか、何に例えれば良いのか未だに悩んでいる。 眼なんて不透明な物体なのに、君の眼は透明で瑞々しい。この前サキエルが持って来たシンゲンモチという美味いスイーツに近い所があって… 食べてしまいたい、欲とはいつも戦っている。 「なんだ。」 「この前も割りましたよね、これ。」 「…そうだったか?」 「これで3本目です。」 「・・・。」 嘘だろ、もうそんなに割ったかあの欠陥品。 まずいな、記憶に、無い。
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