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《少しは反省して下さいっ》
あの、従者の元氣良い返事と、嫁渾身の一撃が、次の日になっても木霊する。
結論から言うと、あの試験管と提燈(ランタン)を足して割った様な物の扱いに、オレ達は振り回されている。嫁も家出してしまった事だし、オレはあの提燈の扱いについて、いよいよ考えなければならない。
…つまり、そういう事だ。
「“我々”の魔氣(マキ)に耐えられないとは、やはり繊細な物で御座いますな。」
「変な物を拾って帰らない様に、という事だろう。」
「…初心者向きですな。」
「そりゃあ、一年生だからな。」
金属フレームのペンダントとなった元採取管は、伯父のジェントに回収させた。
親族の中でも、伯父にはよく世話になっている。趣味と合致するから尚良い様だ。
「おっと。」
伯父は念のためにと付けた手袋――ハマという言葉は氣にくわないがタイマという言葉は好きだ――越しに回収したが、それでもフレームに残った硝子が弾ける。
…やはり繊細過ぎる…
「タントも錬金術コースに進んだのだろう、大丈夫なのか?」
「寧ろ割ったので、見た目だけ似通った提燈を用意されました。」
「なるほど考えたな…」
だが、拾うだけで危険な物が無いとは言い切れない以上、弟の手法を嫁に回す訳にはいかない。
ジェントは拾い集めたパーツを、1つ1つ分けて箱に仕舞った。勿論その時にも硝子が弾けるので、要注意だ。
「よし、これで全部ですな。」
さて、オレ達が問題にしている採取管とは本当に提燈の様な物だが…嫁曰く、
0.その名の通り、拾った物を入れておく。錬金術師御用達。
1.特殊な金属と特殊な鉱物(明らかに普通の硝子ではない)で作られている。
2.魔法で、入れた物の重量は無かった事になる。容量は見た目以上らしいが、嫁もよく分からない様だ。
また、3日=72時間以内なら物の劣化を留められる(一般品質規格)。
3.1と2により、首からぶら下げても負担のない様に出来ている。
※錬金術とは魔法の中でも絶滅危惧種かつ、熱意だけでは極められないらしい。
以上より、それなりに高価な物らしい。よく分からないが、コレを壊した学生は当月の“懐”がヒーヒーになるのだとか。
…それはつまり、何を食べても空腹状態のままになるのか? それは恐ろしい。
嫁は何も言わなかったが、いつも耐えていたのだろうか。
本当に、すまない…
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