6丁目

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6丁目

「あれ? うちの町って6丁目まであるんだ……」  社会科の授業で配られた市の地図。  5丁目に住んでいた僕は隣に6丁目がある事を初めて知った。 「学区が違うのかなぁ……」  クラスに6丁目から通っている人はいなかったはずだ。  そう思いながら地図を眺めていたが、すぐ先生が授業を始めたので僕はその疑問を忘れた。  ―― って事があったよなぁ。  30年ぶりに帰った町は何も変わっていなかった。  そこそこ田舎の住宅街。戦後に作られた都心近郊の街並はどこも切って貼り付けたような雰囲気を持つ。それでも俺が子供だった頃は新興住宅地として賑わっていたものだ。だが―― 「寂しくなったよなぁ」  両親の墓仕舞いのついでに、懐かしさもあって自分が住んでいた辺りまで足を伸ばしてきたのだが、あの頃入居した若い世代が全て年を取ってしまったのだろう。街並はどこかくたびれてしまっていた。 「あれ? こんな道……」  毎日歩いていたはずの通学路の脇にある見慣れない路地があった。  こんな道あったのだろうか? そう思いながら路地に入り、そのまま進んでみた。 「――6丁目」  細くて薄暗い路地はしばらく続いたかと思うと、視界が唐突に開けた。     
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