6丁目

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 反抗期に差し掛かっていた中学生最後の運動会。  共働きだった両親が休みをとって観に来ると言うのに反発して俺は学校をサボった。そして小学校の頃にみつけた地図上の6丁目の事がどうしても気になって町をウロウロしていたのだ。 「そうだ……何で忘れていたんだろう」  両親の墓仕舞い。  二人は同じ日に事故で死んだ。  突然落ちてき爆弾を積んだ戦闘機に巻き込まれ、同級生と先生、その他大勢の人達と一緒に。 「あの時、探しに行ったんだろ?」 「6丁目のことだよ」 「ここが6丁目なんだ」 「みつけられてよかったな」 「ほら、みんな元気に暮らしてるよ」  同級生達が口々にそう言う。 「だから……いつか、また来いよ!」  吉田がそう言って大きな笑みを浮かべた。 「……真一、身体に気をつけてね」  笑顔を浮かべ、あの日のままの姿で手を振る両親とともに、同級生達の姿が急速に遠ざかり――     
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