6丁目

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「……大丈夫ですか?」 「え? あ、はい」  まだ若い寺の住職が焦った顔で俺の方を揺すっていた。  俺は両親の墓の前で意識を失ってしまっていたらしい。  あの日に死んだ両親は国が用意した市内の墓地に入っている……墓石だけは立派だが、ここには遺骨は入っていない。全て灰となってしまったのだ。  国に対する怒りもあり一度もここへは墓参しなかった俺だが、いつか将来、この墓の負担が子供達に回される可能性がある事に気が付き墓仕舞いの手続きをした。最後に一度くらい……と、手を合わせていたのだが―― 「6丁目か……」 「はい?」 「地獄の3丁目とか言いますけど、天国は……何丁目なんですかね?」
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