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思いがけず、私の身体はいつもとは違う反応を見せた。
もともと私は行為に熱中したり、我を忘れるとか、境地に達する事は殆ど無く、自分でもそんな物かと諦めていたし、夫と閨房での関係が疎遠になったのも、そんな体質のせいかと思っていた。
しかし、
海外への秘密の旅行が興奮を誘ったのか、
営みの前に二人で飲んだカクテルで酔ったか、
高温多湿のダナンの気候のせいか、
村木との最後の交わりになるとの開き直りが作用したのか、
私は瞼の奥にきらめく閃光を見て、
レモングラスの香りが漂うヴィラのベッドから身体が中に浮く幻覚の中をさまよっていた。
もしかしたら
このまま死んでしまうのかも。
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