3月13日

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私はびっくりして目を見開く。お二人を彩る素敵なエピソードなのに。 「私が結婚相手に望んだ事は二つだけ。私という人間を大事に思ってくれること。そして自分自身の思いを大切にしている事よ」 「はーーーーーーーー」 私の口からは長いため息しか出なかった。 美しすぎて、惚れ惚れする。こんなカッコいい事言える大人になりたい。 「語りすぎちゃったね。恥ずかしい」 楓さんは顔を赤く染めて、手で扇いでいる。 「すごいです。カッコいいです。楓さん」 「次はあなたの番よ。『センパイ』とは進展してるの」 「ななななな、何言ってんですか」 「ふむ、進展らしい進展は無しか。今は仲の良い同僚みたいだし、このままで居たい。けど本当にそれでいいのか迷ってるってところかな」 「超能力でも使えるんですか!」 まさに心に思ってる通りの事を言われてしまった。 「ふふふ。種明かしは簡単。私もそうだったから。その恋は上手く行かなくて、地元に帰って来たんだけどね。あ、これ主人には内緒よ」 楓さんはそう言うと無垢の少女のよう微笑んだ。 「私、どうしたらいいですか」 楓さんは首を振る。 「自分で決めるしかないの。自分の心と相手の心にゆっくりと耳を傾けるの」 「良くわかんないです」 「困ったわね。そうね、ちょっと待ってて」     
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