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私はびっくりして目を見開く。お二人を彩る素敵なエピソードなのに。
「私が結婚相手に望んだ事は二つだけ。私という人間を大事に思ってくれること。そして自分自身の思いを大切にしている事よ」
「はーーーーーーーー」
私の口からは長いため息しか出なかった。
美しすぎて、惚れ惚れする。こんなカッコいい事言える大人になりたい。
「語りすぎちゃったね。恥ずかしい」
楓さんは顔を赤く染めて、手で扇いでいる。
「すごいです。カッコいいです。楓さん」
「次はあなたの番よ。『センパイ』とは進展してるの」
「ななななな、何言ってんですか」
「ふむ、進展らしい進展は無しか。今は仲の良い同僚みたいだし、このままで居たい。けど本当にそれでいいのか迷ってるってところかな」
「超能力でも使えるんですか!」
まさに心に思ってる通りの事を言われてしまった。
「ふふふ。種明かしは簡単。私もそうだったから。その恋は上手く行かなくて、地元に帰って来たんだけどね。あ、これ主人には内緒よ」
楓さんはそう言うと無垢の少女のよう微笑んだ。
「私、どうしたらいいですか」
楓さんは首を振る。
「自分で決めるしかないの。自分の心と相手の心にゆっくりと耳を傾けるの」
「良くわかんないです」
「困ったわね。そうね、ちょっと待ってて」
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