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風邪っぴきには温かいココア
麗らかな陽気を浴びながら木の根に腰かけていると、目の前にある花が、巨大樹の隙間から漏れた光に晒されて、幻想的に輝いていることに気が付いた。ゲームだったら絶対に重要なアイテムで、捨てられないやつだろうなぁ、なんて呑気なことを考えていると、肩を叩かれた。
『よっ、何してんだ?』
『あそこにある花を見てたんだよ。ほら、伝説を感じない?』
その正体はダインだった。今日の野営の当番のはずだが、大方細かい作業にうんざりしたので、サボりに来たというところだろう。
あとでローラにお仕置きされるだろうに、まったく懲りないなぁ、と呆れながらも、件の花を指差して思ったことを語って見せると、ダインは眉をひそめた。
『伝説って、何だそりゃ。あの花を引っこ抜いたら、最強の剣でもぶら下がっているってか?』
『逆のモンスターならいたよね。ソードプラントだっけ』
『うげ。嫌なこと思い出させんなよ』
『綺麗に引っかかってたもんね、ダインは』
そう言ってケラケラ笑っていると、ダインが苦笑いを浮かべた。思っているよりも、結構なトラウマになっていたらしい。
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