ポップコーンはキャラメル味

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「時間? まだ9時ちょっと過ぎじゃないか。あと30分くらいあるだろう?」 『何言ってんだ、今日の1限、お前も俺と同じ講義をとってただろ?』 「うん。若山教授の心理学。でもあの教授のテストは簡単だから、事前に猛勉強とかいらないって聞いたよ」  若山教授は名前に反しておじいちゃんの先生だ。臨床心理士の経験があるため、学生はよく相談しに行くという。テストは持ち込みありで、しかも内容が簡単なので、学生、特に女子からの人気が高い。講義中、よく天然ボケをかます、おちゃめなおじいちゃんである。 『勉強しろって電話じゃねぇよ。俺も勉強してねぇし』 「じゃあ何の電話? 本当にラブコール? 鳥肌が立つんだけれど」 『ぶっとばすぞ。お前が5分前になってもまだ講義室に来てないみたいだから、大丈夫かと心配してやったんだよ』 「おいおい、ダイチ。君ってやつは本当に馬鹿だな。もう3年にもなるってのに、まだ授業開始時刻を覚えていないのかい? 1限の始まりは9時30分だよ?」 『その言葉、そのままお前に返してやるが、テスト期間中は1限の始まりは20分早くなる』
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