ショートケーキは生チョコレート

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「今日は急がなくて大丈夫なの?」  声の方を見やれば、アリスはキッチンに立っていた。キッチンといっても1ルームの部屋なのでそういう区分では無いのかもしれないが、調味料が置いてあればキッチンと言っても良いだろう。 「今日は2限始まりだからね。あと2時間くらいあるから、ゆっくりしていても平気だよ」  それにしても、不思議な感じがする。自炊をあまりしないから、キッチンが活用されているということもそうであるが、美少女が自分の家で料理をしているという光景が、違和感でしかない。それでも、どことなく懐かしい感じがするのは、失われた異世界での記憶がそうさせるのだろうか。 「はい、できたわよ。簡単なものだけどね」  差し出されたのは、トーストと目玉焼きとベーコン。朝はいつもコンビニの菓子パンで済ませてしまうから、比較的ゴージャスだ。朝からこういったものを食べることができるのは嬉しい。  トーストを齧る。トースターが無いから食パンは今まで買わなかったが、フライパンで焼いても結構美味しい。トースターで焼くよりも、中の方がしっとりしている気がする。中がしっとりしているのに、表面はカリッとしている。あとアレだ。バターの味がして美味い。ベーコンも目玉焼きも美味い。  目玉焼きと言えば調味料戦争が勃発しやすいが、僕は断然塩コショウ派だ。醤油もソースも別に食べられるけれど、塩コショウが一番美味い気がする。アリスも特に調味料を足したりしていないから、塩コショウ派なのだろう。因みにダイチはマヨネーズ派だ。
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