ショートケーキは生チョコレート

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「それじゃあ、ちょっと行きたいところがあるから出かけるわね」 「分かった。行ってらっしゃい」 「行ってきます」  昨日買ったばかりの服に身を包んだアリスを見送る。扉の隙間から見える限りでは、今日は快晴のようだ。……しかし、行きたいところか。いったい何処なんだろう。そもそもこの辺りの地理には疎いはずだから、昨日出掛けたときの通り道で何か気になるところでもあったのだろうか。  アリスは今は部屋にいない。大学までの微妙に余った時間。と、なればやることは1つだろう。 「よし、エロ本隠そう」 ◇  作業は殊の外早く終わった。考えてみれば部屋自体が小さいし、量もそう多くないので当然といえば当然なのだけれど。  本に紛れ込ますのは、アリスが時間つぶしに本を読みそうなので選択肢から除外される。しかし、そう物が多くないので隠すには一苦労した。流石に枕カバーの中と天井裏までは見まい。何と戦っているのかは分からないが、勝利を確信し、時間を確認するとリュックを持って家を出た。  徒歩数分。時間は余裕があるので、のんびりと歩いて行くと、見慣れた大学がある。テスト期間だからか、いつもより人は少ない気がする。電車通学の集団が少し前を歩いている。その集団の中から誰かがこちらへ近付いてきた。
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