ポップコーンはキャラメル味

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「あの、本当にゴメンね。それじゃあ、僕は先を急ぐので……」 「『Nrnrndud lwl nlurphhwrux』……」 ちょっと危険な香りがしたのて、そそくさと逃げ出そうとすると、袖を掴まれた。おまけに謎の言語で呟いている。確実に日本語ではないが、一人称と二人称だけは知っている5ヶ国語のどれにも該当しないので、何を言っているのかさっぱり分からない。どうやら本当に痛い子みたいだ。 「……『Ndqdwdh』」 そして瞬きをすると、目の前には見慣れた大学があった。反射的に彼女の方を向くと、神秘的な光に包まれていた。その光も急速に淡くなり、やがて消えると、視線に気が付いたようにして彼女はこちらを見て、ちょっとだけ自慢げに微笑んだ。その微笑みにどこか懐かしさと嬉しさを感じていると、人差し指で頬を軽く突いてきた。 「テスト、頑張って来なさいよ。……それから、エイガ、楽しみにしてるから」 そういうと、スタスタと歩いて行った。その様子を呆然と眺めることしか出来ず、遠くに聞こえるチャイムの音だけが静かな朝に木霊した。 「…………何これ……夢?」  白昼夢でも見ているのだろうか、あまりにも現実離れしたこの事象に脳の処理は追いつけず、結果、しばらく佇むことしかできなかった。  もちろんテストには遅刻した。
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