「神」と「悪魔」

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僕side 「おなかすいた」 僕は呟いた。午後2時、僕はさっき昼食をとったばかりだ。 僕は特異な体質をしていた。 いくら食べても満腹にならないのだ。 そして、いくら食べても太らない。 常に空腹の僕には、全ての食べ物が美味しく感じる。その美味しい食べ物をいくらでも食べられる僕は幸せ者だ。 僕は「孤児院」で暮らしている。 広めの「僕の部屋」で、独り食事を取り続ける。 「親」に電話して食べ物を持ってきてもらう。 「お母さん、おなかすいた」 ────────────── 親side 「お母さん、おなかすいた」 「ええ、分かったわ。またご飯を持っていくわね」 「あれ」にはまだまだ生きてもらわなきゃ。その胃袋にどこまで入るのか。途切れること無く食べ物を与え続けて、どこで「お腹いっぱい」を言うのか。 全ては、「神」を創造するために。 私達はある研究所の研究者、通称「親」。 全ての機能を無限に持つ「神」と呼ばれるロボットを作り出すため、1つの機能を無限に持つ試作品を作っている。例えば、No.01は千里眼を、No.26は永遠の命をもっている。 そして、No.35は無限の胃袋を。 その胃袋が本当に無限なのか、確かめる必要がある。 「ご飯持ってきたわよ」 「ありがとう、『お母さん』!」 「ええ、いくらでも食べていいんだからね」 笑顔を貼り付ける。私のことを「お母さん」と呼ぶ時点で、かなり研究が煮詰まってきていることを実感できる。 人間のように心を持つ、完璧なロボットの完成は目前だ。
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