新築工事

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「お休みのところ、お邪魔してすみませんねぇ」  おばあさんの方がそう言うので、俺も大丈夫ですよと返す。  歳の割には随分と可愛らしい声だなと思った。 「実は私共、今建たっている家の者です。日中うるさいかと存じますが、ご容赦のほどを」  今度はおじいさんの方が口を開いた。こちらは年相応の渋く落ち着いた声だ。 「え?祟っている!?」  俺は一瞬驚いたけど、どうやらそれは方言らしく、この辺では家を建てるを家が建たると言うそうだ。  その後、通り一遍等のあいさつを交わし、二人はご丁寧に折り菓子を置いてから出ていった。  流石にフルネームでまではお互いに言わなかったが、名字は救井(すくい)というらしい。珍しい苗字だなと思いながらも、俺は違う事に関心を奪われていた。  あの二人が住むにしては、大きすぎないか、あの家。と言っても、まだ完成品を見たわけじゃないけど、それにしても結構大掛かりなのは確かだ。  それから家が完成するまで、その二人がこの地を訪れることはなかった。それにしてもずいぶん時間が掛ったものだ。  シートが撤去されたのは、開始から半年たった頃。  その家はなんと、2LDK程度と思われる平屋建てだった。
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