5人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「お休みのところ、お邪魔してすみませんねぇ」
おばあさんの方がそう言うので、俺も大丈夫ですよと返す。
歳の割には随分と可愛らしい声だなと思った。
「実は私共、今建たっている家の者です。日中うるさいかと存じますが、ご容赦のほどを」
今度はおじいさんの方が口を開いた。こちらは年相応の渋く落ち着いた声だ。
「え?祟っている!?」
俺は一瞬驚いたけど、どうやらそれは方言らしく、この辺では家を建てるを家が建たると言うそうだ。
その後、通り一遍等のあいさつを交わし、二人はご丁寧に折り菓子を置いてから出ていった。
流石にフルネームでまではお互いに言わなかったが、名字は救井というらしい。珍しい苗字だなと思いながらも、俺は違う事に関心を奪われていた。
あの二人が住むにしては、大きすぎないか、あの家。と言っても、まだ完成品を見たわけじゃないけど、それにしても結構大掛かりなのは確かだ。
それから家が完成するまで、その二人がこの地を訪れることはなかった。それにしてもずいぶん時間が掛ったものだ。
シートが撤去されたのは、開始から半年たった頃。
その家はなんと、2LDK程度と思われる平屋建てだった。
最初のコメントを投稿しよう!