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救井夫婦がそこに入居を始めたのはシートが外されてから一週間ほど経ってからだった。
その間、荷物の搬入が行われていた。
なぜ俺がそのことを知っているかというと、搬入は深夜にも行われていたからだ。
あんな小さな家に何をそんなに運び込んでいるのだろうと、ちょっとだけ疑問に思ったが、広いだけで何もない我が家と比較してやっかんでるだけだと思い、すぐに考えるのをやめた。
妻でもいれば、話のネタにでもしただろうけれど、まだ妻は帰ってこない。
なぜなら子供は心臓を患っていたからだ。
実家の近くにはこども病院があったのは不幸中の幸いだった。
そこで緊急手術をしたため、妻も子供もしばらくは帰れない。
俺の方も仕事が忙しく、手術の前日の夜に実家に泊まって、手術前に面会して帰宅するのが精いっぱいだった。
手術の成功を知ったのは、帰宅後の事だった。
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