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大規模霊災運搬人始動
開かれた貝の中には、真珠のような幼い娘が眠っていた。見た目莉里と大差なく見えた。
瞳が開かれて、莉里は彼女の誰何を受けた。
「そなたは、何者じゃ?妾はクティーラ姫じゃ」
「莉里はぷいきゃージュエリーなのよさ」
クティーラはぽかんとしていた。
莉里はぷいきゃーについて詳しく説明した。クティーラ姫は大いに興味をそそられていた。
「ぷいきゃーはそんな感じでピンチに陥ったりするのよさ。相棒のぷいきゃーエボニーはそういう時頼りになるのよさ」
ほえー。クティーラは感嘆した。
「昨今の巷はそのようになっておるのか。アニメとは興味深い。妾も見てみたい」
「莉里のパンツがぷいきゃーなのよさ。こんな感じなのよさ」
莉里はスカートをまくって尻を見せた。
父親に叩かれた尻はもう回復していた。実際代行だったが。
「ほー。そなたは本にぷいきゃーであるな」
「そうなのよさ。うちに来ればいつでも見せるのよさ。ボックスもあるのよさ。モフモフをモフりながら見るのよさ」
クティーラは不意に視線を落とした。
「妾は外には出られん。むしろ結界をすり抜けたそなたが凄いのじゃ。常人なら出ることなど思いもよらぬ」
「そもそも何で結界に封じられてるのよさ?」
「妾の父君は偉大な支配者だったのじゃ。しかし、父君はこの世で最も深い海の底に城ごと沈み、浮上する日を夢見るままに待ち至っておられるのじゃ。ある日、父君の配下の醜いつがいの深きもの共に裏切られ、妾はここに幽閉された。妾は父君の辿る道を追い眠りについたのじゃ。雄の方などは九頭龍の君などと名乗り、誇り高き父君の名を汚す始末じゃ」
「あーふん。じゃあ出るのよさ。クティーラは可愛いのよさ。莉里ほどじゃないけど。ぷいきゃーエボニーがちょうど欲しいと思ってたのよさ。莉里に任せるのよさ」
莉里は、軽々と結界を切り裂き、恐るべき邪神の娘を解き放ったのだった。
その後先考えない様は、まさに大規模霊災運搬人に相応しかった。
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