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学校の新入者
私立狐魂堂学園祓魔学科は未だ設立されて間も無く、主に霊感はあるが雑多なタレント達が教員の登壇を待っていた。
その中に風間静也と田所紀子の姿もあった。
静也は一つ年下だったが学年は同じだった。
最近静也の様子がおかしかった。
昨夜は寮に忍び込んできたのだ。
強力な退魔法で撃退した。
ライル・グリフィス・コティングリーの姿もなかった。このところ休んでいて、祓魔課にすら姿を見せなかった。
ガヤガヤとした教室が静まり返った。教員が入ってきた。杖をつきながら。
「お早う。俺のラブ嫁勘解由小路真琴が育休になったんで非常勤講師になった勘解由小路降魔先生だ。発言したい奴は手を挙げた後敬礼して発言、しかる後にありがとうございましたと言って着席しろ。風間静也。百鬼姫と仲良くしてるか?出来婚皇族もありだと思うぞ」
「いや、流石にそれは有り得ません」
「馬鹿者。そういう時は、はい先生、そうではありませんと言え。要するに軍隊方式だ。お前等ロクデナシを一人前の祓魔官にしてやる。泣いたり笑ったり出来なくしてやろう。ライルの奴は未だに引きこもってんだな。重畳だ」
何か無茶苦茶な話になってきた。
「はい。じゃあ出席とるぞ。相原」
「はい」
「はいおります。つってありがとうございましたって言え。元気良くな。飯田」
「はいおります!ありがとうございました!」
「小幡」
「はいおります。ざーす」
「お前終わったら職員室来い。次ーー勘解由小路」
長い沈黙の末、勘解由小路は勘解由小路を呼んだ。結構な逡巡があった。
「はいおりましゅ降魔しゃん。ありがとうございましゅた」
下ろしたての女子の制服を着た巨乳人妻JKが座っていた。真っ新な白いブラウスから透けている黒いブラジャーはどこまでも扇情的だった。
そう言えば、紀子は思い出した。
朝、突然見慣れぬ人物が視界の隅に入ってきて、門倉君は漏らしそうなレベルで狼狽えて、慌てて机を後ろにずらし 、その誰かは、平然と新しい机を並べたのだった。
転校生じゃない。ただの侵入者だった。
「降魔しゃん。緑くんは?」
プラス乳飲み子を抱いていた。
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