1人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は来客者であるサフィラ、更には瀕死のクラリスを凝視し息を呑む。
「レンツィア、何があった!!」
「町の住人から通報があった、何でも不法侵入者が現れたようだ。
駆けつけた騎士が確保したらしいが、全員自害した――」
「それだけの内容で、わざわざ呼びに来たのか……?」
「いや、1人や2人なら連中でも対処出来たんだが……
現在判明してるだけでも10人、20人……
今でも更に増え続けている――」
「……、交戦はしたのか?」
明らかに妙な話だ、いつの間にネズミが潜り込んだのだ?
しかも、自害しているとなると――
「――通報された時点で彼等は、何者かに気絶させらていた状態で発見されてた。
そしてそのまま――」
「自害した……」
イタリアを攻める事が目的ではない、ではいったいなんの為に――?
「璃蓮、お前は騎士団と合流しろ」
病院への連絡が終わったのか、後ろから雪華が声をかけてきた。
「しかし――」
「明らかなことは、この町に何かしらのネズミが潜り込んで居ることだけだ。
今のお前に出来ることは、騎士団長として皆を指揮することだろう?」
有無を言わず、剣をつき出す雪華。
確かに、彼女の言う通りではある。
このまま共に病院へ向かった所で、出来ることはただクラリスが助かることを祈るしか出来ない。
クラリスが少からず、この事件に巻き込まれていることは明白だ。
「あとは、頼む――」
剣を受け取り、璃蓮はいまだ止まない雨の中に飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!