泡沫の夢

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彼は来客者であるサフィラ、更には瀕死のクラリスを凝視し息を呑む。 「レンツィア、何があった!!」 「町の住人から通報があった、何でも不法侵入者が現れたようだ。 駆けつけた騎士が確保したらしいが、全員自害した――」 「それだけの内容で、わざわざ呼びに来たのか……?」 「いや、1人や2人なら連中でも対処出来たんだが…… 現在判明してるだけでも10人、20人…… 今でも更に増え続けている――」 「……、交戦はしたのか?」 明らかに妙な話だ、いつの間にネズミが潜り込んだのだ? しかも、自害しているとなると―― 「――通報された時点で彼等は、何者かに気絶させらていた状態で発見されてた。 そしてそのまま――」 「自害した……」 イタリアを攻める事が目的ではない、ではいったいなんの為に――? 「璃蓮、お前は騎士団と合流しろ」 病院への連絡が終わったのか、後ろから雪華が声をかけてきた。 「しかし――」 「明らかなことは、この町に何かしらのネズミが潜り込んで居ることだけだ。 今のお前に出来ることは、騎士団長として皆を指揮することだろう?」 有無を言わず、剣をつき出す雪華。 確かに、彼女の言う通りではある。 このまま共に病院へ向かった所で、出来ることはただクラリスが助かることを祈るしか出来ない。 クラリスが少からず、この事件に巻き込まれていることは明白だ。 「あとは、頼む――」 剣を受け取り、璃蓮はいまだ止まない雨の中に飛び出した。
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