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雨音が鳴り止まない夜の中、激しくぶつかり合う2つの影。
「あははははッ!!
最高だ、最高だフォンッ!!
やっぱりお前はこうじゃなきゃ、なぁ!?」
狂人じみた笑いを上げながら男――リベルは再び攻撃を仕掛けてきた。
その身体には、数十ヶ所に及ぶ打ち身や切り傷が出来ている。
にも関わらず、全く痛みを感じていないのかその動きに変化は見られなかった。
片やフォンの方はというと、強いて言うなら既に体力は限界に達していた。
片腕を犠牲にした反撃の為、左腕は恐らく脱臼及び骨折しており使い物にならない。
更に雨の中での戦闘だ、容赦なく体温を奪い、体力さえも削っていく。
「――――ぐッ!?」
「――おらおらッ!!」
リベルへと確実に攻撃を当てていたフォンも、次第に防御する事すらも難しくなってくる。
「どうした?
あの頃のお前は、こんなもんじゃなかった筈だッ!!」
「――がはぁッ!?」
怒りまかせに放たれた蹴りは、やっとの事で立っているフォンを跳ばすには十分の威力だった。
受け身を取ろうにも体力は既に限界、吹き飛ばされた先で激しく地面に体を打ち付ける。
衝突した時に口の中を切ったのか、鉄の味が口内に広がってくる。
「なぁ、フォン……
俺を幻滅させんなよ……?」
いまだ起き上がれないフォンに近づいてきたリベル、まるで道端に転がる石を蹴る様に横たわるフォンを転がす。
仰向けになったフォンの胸を踏みつけ、かつての同志であったフォンを冷めた目で見下すリベル。
全体重で踏みつけているのか、踏みつけられたフォンの肺は圧迫され、胸骨はミシミシと音を立てる。
「……ぐ、……あ゛ぁ゛――ッ!?」
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