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オハフ61、オハ35、オハフ33などという旧型客車が一斉に姿を消そうとしていたから、という理由でもない。
ただ目的地までの時間を引き延ばしたかったからである。いろいろ考えたいのだ。
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しなびている、打ちひしがれている。客車の色。せめて単色で統一させれば、まだ見映えはいいはずなのに、茶色の客車、暗い青色の客車が混ぜこぜに編成されている。
なぜこんなにも適当なのか。今の新幹線のジェット機みたいな流線型の美しい車輛編成からしたら考えられない、色彩の感覚。
茶色じゃない。茶色は、明るく秋を思わせるような葉っぱの色だと思う。作った人はどうしてこんなペンキの色をハイカラだと思ったのだろう?明治、大正のころには、こんなにもみすぼらしい色にどんな希望を込めたのであろうか?鉄板でできた鋼製の客車は、手でたたき出したと思わせる板金でツヤがなく、むしろ敢えて『つや消し』を作り出して、みすぼらしさを演出させているとしか思えない悲しげな色。
阪急電車のマル―ンのように愛されるような、アイコン的意味合いもない。深淵な、どこまでも深淵な、暗い茶色。そうだ、昔、新宿西口のガード下にいた傷痍軍人さんが弾いていたアコーディオンの色だ。
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