7人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら、可愛いじゃん。赤リップ」
可愛くないことはないんだが。
「こっちにしない?」
俺は三回めに試した桜色のリップを指差す。
「でもさ、そっちはあんまり色が出なかったじゃん。似た色持ってるし」
「プレゼントして差し上げたらいかがでしょう?」
またお姉さんがいらんことを言う。
「うん、くれるんなら使う。そして私は赤リップ買う」
それでは意味がない。
「まぁ、お前がいいならその気に入ったやつにすれば」
「うん、じゃあお姉さん。レッドの425番で」
「かしこまりました、ご用意しますね」
お姉さんの「結局買ってやらないのかよ」というオーラをひしひしと感じる。世の中はそんなに彼女に甘い彼氏ばっかりじゃないんだぞ。
最初のコメントを投稿しよう!