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「……赤い口紅は、色が移るだろ」
未花は俺を「面倒くさい男だなぁ」とでも言いたげに半開きの目で俺を見る。
「何を今更。コップとかは洗うし良いじゃん」
なんで、察せないんだ、馬鹿なのか。
「……俺の唇に移る……」
恥ずかしい。なんでこんなことをわざわざ言わなければならないのか。
あぁ、と彼女は納得した後、鏡越しにニタァーっとムカつく笑みを見せる。
「そぉだよねー、移っちゃうよねー、カキ氷のイチゴ味食べたみたいになるよねー」
「っるっさいな」
「じゃあ、今日買ったリップはデートの時は付けないよ」
俺はしたり顔の彼女を横目で睨んだ。
「そうしてくれ」
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