希望を信じて

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「翔太、しょうがないからしばらくここで休んでいくんだね。お母さんには電話しておくから心配しなくてもいいからね」 「うん」  翔太は元気よく返事をすると思い出したように、白ネコのもとへ歩み寄った。白ネコは寝ているにもかかわらず自分の子どもを守るかのように大事に空きカンをだきかかえていた。 「白ネコさん、ちょっと空きカンかしてね」  翔太は白ネコの耳元でささやくとそーっと空きカンをぬき取った。白ネコは耳をピクピクと動かし薄目を開けて目を合せてきたかと思うと翔太だとわかり安心したのかまたスウスウと寝息をたてはじめた。  翔太は白ネコの寝顔に頬をゆるませた。  すぐに空きカンへと目を移し小首を傾げた。手に取った空きカンがいつもよりちょっと重く感じた。少しゆらしてみると、空きカンからポチャンポチャンと水の音がした。どうやら空きカンの中に雨水が入ってしまったようだ。中をのぞいてみるとさとみがびしょぬれになってふるえていた。くちびるはむらさき色になっている。翔太はあわてて空きカンの中の雨水を捨てた。次に何かふくものをと思ったのだが、穴が小さすぎて何も入らない。 「翔太くん、もうだいじょうぶだから」  空きカンの中から明るい声がしてきた。翔太は空きカンの中をのぞいてみると、びしょぬれだったさとみの服や髪の毛がドライヤーにでもあててかわかしたみたいにかわいていたので目を丸くしておどろいた。 「あれ、さとみちゃんどうやったの」 「翔太くんの手のぬくもりでかわいたのよ。それとも、翔太くんのあったかい心が伝わったのかな」 「あったかい心」 「そうよ、だって翔太くんの心はまぶしいくらい光っているんだもん。お日さまみたいにね。あたたかくて気持ちいい」 image=513304004.jpg
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