希望を信じて

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「おい、翔太。あとで教えろよ。何かあったんだろう」 「伸一くん、たいしたことじゃないんだよ」 「いいよ、それでもさ」  授業はあっという間に終わった。白ネコのことばかり考えていたせいだろう。本当に放課後にタイムスリップでもしたんじゃないかと思うくらい今日の学校での一日は早かった。先生がどんな話をしたのかもわからなかった。 「翔太、そういえば朝言っていた白ネコって何のことだ」 「あれは、その……」  翔太は伸一に話すべきかどうかななやんだ。空きカンの中に女の子がいて、それを大事そうにしている白ネコがいるなんてこと言ったら笑いものになるだろうか。 「おれにも言えないことか」 「伸一くん、笑わない?」 「聞いてみないとそれは約束できないよ」 「うん、そうなんだけど……」 「わかったよ。笑わないって約束してやるよ」  翔太は伸一のその言葉を信用して今までのことを話した。伸一は目をキラキラかがやかせて翔太の話に聞き入っていた。 「翔太、おれも見たい。さとみに会ってみたい。よし、行くぞ」 「ちょ、ちょっと、引っぱらないでよ。伸一くん」  翔太は伸一に服のそでを引っぱられながら学校を飛び出す形になった。 「ここだろう、翔太」 「うん、そうだよ」 「白ネコなんていないぞ」 「そうだね」 「そうだね、じゃなくてさー」  翔太と伸一は駄菓子屋の裏の空き地に来ていた。でも白ネコはどこにもいなかった。
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