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「もしかしたら、まだ病院にいるのかなぁ」
「翔太、行ってみるか」
またしても伸一に引っぱられるようにして病院へと向かった。それでも白ネコの姿は見当たらなかった。
「ごめんね。伸一くん」
「あやまらなくてもいいよ。おれ、翔太の話、信じているからさ」
「うん、ありがとう。伸一くん」
「しょうがないから、今日は帰ろうか」
「うん」
翔太は伸一とともにニコニコしてふざけながら走って帰った。
あれ、伸一の顔がなんだかミカンみたいだ。夕陽のオレンジのせいだ。もしかしたら自分もそうなのかも。翔太は二つのミカンが肩をそろえて走る姿を想像してにやけてしまった。
えっ、今の、なに。
翔太の体をすりぬけるようにして黒いコートに身をつつんだ男が通り過ぎていった。その瞬間、心臓がドクンとなった。そんなことありえない。
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