希望を信じて

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 翔太は妙な感覚にとらわれて体勢をくずしながら振り返った。目にしたのはだれもいないまっすぐな一本道だけだった。 「翔太、どうした?」 「い、今、黒ずくめのおじさんが通ったよね」 「いや、おれは見ていないぞ」 「ウソ。だって、ぼくは……確かに見たんだよ。伸一くんだって見ていたはずだよ」 「ウソじゃないよ。おまえ、つかれているんじゃないのか。まぼろしでも見たんだよ」 「そうなのかなぁ」  翔太は(なっとく)がいかず、もう一度遠くまでつづく一本道をぼんやりと見た。伸一はポンと翔太の肩をたたくと「帰ろう」と優しくささやいてきた。翔太は頭をコクンと軽くかたむけると後ろを気にしながらゆっくりと歩みを進めた。  本当にまぼろしだったのだろうか。 ***
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