希望を信じて

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 歩いていた黒ずくめのおじさんが徐々に服もぼうしも何もかも混ざり合い黒一色になり黒いカゲとなっていく姿を目にしてしまった。その黒いカゲはけむりが立ち昇るようにしてユラユラとゆらめいて消えてしまった。 「おばあちゃん、どうしよう。あいつ、絶対、変だよ」 「確かに、あやしいねぇ」 「そうだ、さとみちゃんを探さなきゃ。あいつより先に」  おばあちゃんはうんうんとうなずいていた。 「じゃあ、ぼく、行くね。何かわかったら教えてね」  翔太は駄菓子屋の戸口で黒いカゲがいないかあたりの様子をうかがいながら急いで飛び出して行った。白ネコがいそうな暗くてせまい路地裏を必死にさがす。でも、空きカンをくわえた白ネコはなかなかみつからなかった。 「関係ない野良ネコばっかりだ。どこ行ったんだろう」  サバネコだったり黒ネコだったり、白ネコかと思ったら黒いブチがあったり。ああ、あの白ネコはどこへいった。 「おい、翔太。何しているんだ」 「おっ、伸一くん」  翔太は伸一に黒ずくめのおじさんのことを話した。身振り手振りをまじえながら真剣に話したせいなのか伸一がいっしょにさとみと白ネコを探す手伝いをすると約束してくれた。 「翔太、おれ、商店街のほうを探すから、おまえは学校のほうを探せよ」 「うん、わかった。あっ、伸一くん、空きカンをくわえた白ネコさんだからね。まちがえないでね」 「おう、まかせとけ」  伸一は意気込んで商店街に向けて駆け出していった。翔太は重要なことを思い出して、あわてた。
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