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創真はデジタルアートに関しては妥協しない。最高のパフォーマンスをするためなら手段を選ばない。
資金不足はクライアントから他の仕事を請け負って、資金をじわじわ調達する。
何でも屋の部署じゃないのに、アプリ開発やHP作成までさせられる。
10人いるエンジニアのうち、2人はプログラミングをかけるけど彼らにはイルミネーションやライトなどのプログラミングをさせて、雑務をわたしに押し付けてくる。
他の8人も装置製作の補助をして、部品の設計をCADで描いたりと忙しい。
「理子はなんでもこなせるからな。俺、アプリ開発とか検索エンジンとか、苦手だから無理」
中津圭も手を止め、わたしを見て言う。
わたしも、苦手なんだけどなと思いつつ、デジタルアートの資金調達のために創真が請け負ったシステム開発と仕様書を手に持ちため息をついた。
「で、創真はクライアント先の接待されに行ったのか。また資金集めの仕事を持って帰ってくるな」
2ヶ月後のお盆時期に行われるお化け屋敷。
だいたい使うデジタルアートは決まっている。
おばけ屋敷だから、イルミネーションの電球もいらないのに、なぜ資金集めに仕事をとってくるか理解できない。
デジタルアートを最高傑作に仕上げるために、クライアントから他の仕事を請け負い、予算を横流しでデジタルアートを素晴らしい作品にするために動く。
予算内で創りあげればいいのにとわたしは思う。
2週間から1ヶ月の期間が決まってるイベントに、そんなにお金をかけれないよ。
デジタルアートを手がけるための部署で、管轄外の仕事をさせられてるわたし。
帰りたかったけれど、溜まっていく社内システムや教育アプリを手にし、片付ける事にした。
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